ワーキングマザー徒然

子育てと仕事にドタバタのワーキングマザーの日々、両立のための工夫や外資系の事情など。

3.11。人間は極限状態の時に本性が出るという話。

5歳の娘を育てながらフルタイム勤務(現在第二子産休中)のminaです。
今日は東日本大震災があった日ですね(という記事を書きかけたまま日付が回ってしまいました)。
昨年と同様、少しばかりの寄付をしました。金額的には恥ずかしくて書けないレベルですが、こうして年に一度、忘れない、ということも一つの方法かなと思って続けています。

当時、私はいわゆる「ブラック企業」で働いていました。とある”嗜好品”を売ることを事業としている、社員が数十人ほどのベンチャー企業で、創業者とその一家が経営を牛耳る同族会社。私は創業者の娘が社長をしている子会社で社長直属の部下として働いていました。この社長に振り回される毎日を過ごしていました。

入社初日に「アレ?ナンカチガウ…」と思い、入社3日で転職したことを後悔したものの、当時は転職活動に疲れてしまっていたのと同僚は良い人達が多かったこともあって結局ズルズルと2年以上在籍してしまったのですが、そんな面倒くさがり&人生流されがちな私でも退職を強く決意する決定打となった出来事が震災でした。

有事の時にどのような対応をするかは、その組織や人間の本性が出ます。

地震が起きたのが金曜日。東京も帰宅困難者続出の大混乱でその日は終わりました(直属の部下達数名は、社長が帰る気になるまでは帰宅させてもらえず、散々待たされた後の帰宅となりました)。迎えた週末、徐々に明らかになる震災被害と次々とくる余震。そして原発の問題。この社長とその一族。震災が起きて僅か2日後の日曜には海外に飛んでいました。
逃げたんです。
当時、一部の人達の間では日本に住むことが危険だから逃げよう、という考えが出始めていて、社長一族もそのように考えたようです。
月曜日。
土日の間に高飛びした海外からの電話口で開口一番、社長がなんて言ったと思います?
「昨日の売上どうなってるの?!報告がないじゃないの」
ですよ。
私の中で心の波がさーーーっと引いていく音が聞こえましたよ。東京はそれほど被害がなかったとは言え世の中が不安に溢れている中でそれでも自宅待機の指示も出ないから社員は必死に出社して仕事してるわけですよ。(この会社で社長の指示がない中で自主的に出社しないのはあり得ないことだったので。裁量権が無さすぎるため自律した判断ができない状態に追い込まれるのもブラック企業の特徴の一つです。)
嗜好品ですから、未曾有の災害時にどうしても売らなければならないものではありません。普通に自宅待機で良かったはず。
それなのに自分は親族一同早々と地震の影響がない場所に逃亡して(しかもその費用は会社経費扱いにして)、逃亡先から電話で部下を叱責するという。ああ、この人はダメだ、と確信しました。ある意味踏ん切りがつきました。それまでも、散々な暴君ぶりに辟易していたものの心のどこかでは僅かな希望や責任感があったのです。ベンチャー企業として生き残るのに必死だから理不尽なことも言ったりするんだ、期待してくれてるから、社員に成長を促すために厳しいことを言ったりするんだ、私がこの事業を軌道に乗せるんだ、etc…。「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープに振り回されるアン・ハサウェイに自分を重ね合わせたりして(社長は実際にプラダを着てたんです)。
でも違いました。この人は自分(と自分の家族)のことしか考えていない。元々経営センスに大いなる疑問を持っていたところに、人間としても尊敬できない。このままここにいても未来が無い。
そう思ってしまったのです。

あの会社で働いていたのは私の人生の黒歴史の一つですが、今日書いてみて当時の感情がフラッシュバックしました。「まぁ人生経験の一つとしては良かったかな^_^」で済ませられるほど、まだ私の中で完全に消化できてはいないみたいです。我ながらしつこい。
ちなみに色々他にも人生でやらかしてまして黒歴史の一つや二つや三つや…あるのですがそれらはもう風化して思い出の一ページになってます。
ここ数年の私しか知らない人はワーキングマザーとしてバリバリ?やって、イクメンの夫がいて、一姫二太郎に恵まれて、新しい家に住んで、、、ていう順風満帆ぽい感じに見えてると思いますが、だいぶ辛酸舐めてますから。
みんなどうなんでしょうか。はたからみると、深刻な悩みなど一切無さそうに見えてしまいがちですが、人には言わないだけで何かしら辛酸舐めてる経験しているのでしょうか。きっとそういう人が多いと思っています。

極限状態になると人間の本性が出る。だから映画や小説、ドラマでは極限状態を作り出して人間性をドラマチックに描き、私はそれに魅せられる(唐突)。
「24」でのジャックバウアーの決断力や行動力。「LOST」でのジャックシェパードの責任感。「ライフイズビューティフル」でのグイドのユーモア。「ショーシャンクの空に」でのアンディの執念。

ちなみに、とあるキャリア診断モノによると私はジャックバウアータイプらしいです笑。自分探し世代なもので○○診断系が割と好きでして、また今度そのあたりもまとめて記事にしたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。